壁を壊して子育てしやすい東京へ

今や女性の社会進出が一般的となり、共働き世帯は約7割に達しています。結婚後も働く女性が増えてきた中で、子育て世帯を悩ませてきたのが、壁と言われる障害です。

まず第一の壁と言われるのが、「保活の壁」です。東京都は2001年(平成13年)に東京都独自の制度である「認証保育計画」を立ち上げ、2年後に都内172ヵ所で民間事業者による認証保育所を設立しました。更にこの制度を活用し、まとまった土地が少なく地価の高い東京において、長時間保育、待機児童解消に取り組んできました。そして2017年には8,586人に上る待機児童が、2024年には361人にまで減少し、都内23区内では17区が待機児童ゼロを達成しました。

私もこれまで都議会自民党の認証保育推進議員連盟の会長として取り組んでまいりましたが、今後は、保育の壁の向上に努めるとともに、多様なサービスの提供に向けて取り組んでまいります。

次に第2の壁と言われるのが、「小1の壁」です。子供が小学生になった途端、それまで保護者の就労に合わせて長時間預けることができた保育所へは預けられなくなり、子どもの預け先に困るのが「小1の壁」です。

「小1の壁」が生まれる原因は2つあります。1つは開所時間の問題です。保育所の場合、開所時間は7時30分の所が多く、親の労働条件によって最大11時間預けられますが、小学校の場合、登校時間が8時から8時30分で、下校時間は午後2時から3時が一般的です。そのため預けられる時間が6時間から7時間と大幅に減少し、仕事との両立が難しくなります。放課後学童クラブでは4割が午後6時30分までに閉所しており、5時を過ぎると原則として親のお迎えが必要になります。

そのため、これまでは仕事の仕方を見直したり、ママ友パパ友と連携したりしながら壁を乗り越えてこられましたが、現在は放課後学童クラブに入ることすらできなくなっており、2015年度以降の待機児童数は3,000人以上で推移しております。

このような状況を改善するため、東京都は2025年度より独自の認証制度を立ち上げ、「小1の壁」対策に乗り出します。制度の目的は、子どもの最善の利益を考慮した育成支援の推進や、保護者のニーズに応える多様なサービスの提供です。これまで国が定める学童の児童一人あたりの床面積は1.65㎡以上で、1クラスの定員がおおむね40人以下が目安でしたが、守られていない施設が4割以上となっております。

そこで今回の認証制度では、児童一人あたり1.98㎡以上の床面積を確保し、1クラス40人までとしました。また、子どもを見守る職員を1クラス3人以上配置し、研修を修了した支援員を2人以上配置することとしました。障害をお持ちの児童の受入れや延長保育などのサービス向上経費を加算し、運営事業者への補助単価も見直しました。更に開所時間を平日は午前7時(休校日は午前8時から午後7時)、開所日は毎日(日・祝・年末年始を除く)、夏休みは昼食の提供をします。

2025年4月より募集を開始しますが、課題は、認証要件を満たす職員の確保ができる事業者がどの程度参入してこられるかです。参入を検討する民間事業者、NPO法人などのご意見を伺い、子どもたちにとって居心地の良い環境を提供できますよう、本日より始まりました予算委員会の中でも取り上げてまいります。

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