「ODAIBAファウンテン」計画の危うさ

都は昨年9月、今年度中に進める「ODAIBAファンテン(仮称)」の整備計画を急遽公表しました。コロナ禍で落ち込んだ臨海副都心地域の活力を取り戻すために、新たなランドマークをつくり東京の新たな観光名所とする意向で、来年度予算に整備費などの関連経費約26億4,000万円が要求されました。港湾局は、整備費は一般会計でなく特別会計の臨海地域開発事業会計から支出し、都民の税金の支出はないとしていますが、同会計は、臨海地域の埋め立て地という都有財産を民間事業者へ売却などをして利益を出しており、利益剰余金は1,424億円(23年度決算)となっています。港湾局は、「埋め立て地の造成も都が企業債から捻出しており、貸付・売却で得た収入は都税に当たらない」と説明していますが、都有財産には変わりありません。投資に見合った効果がどのようにして得られるのか、また安全対策、周辺環境への対応、渇水時の対応、水質や生態系への対応など十分な説明が不可欠です。

計画では「ODAIBAファウンテン」は、同公園沖にフロートを浮かべ、噴射機から水を噴き上げるもので、高さ150mの噴水と桜(ソメイヨシノ)をモチーフにした、幅250mの噴水を組み合わせ、BGMとライトアップで噴水を演出するもので、様々な曲を採用してバリエーションを増やし、5~10分のショーを一日複数回展開する計画です。着想はUAEの「ドバイファウンテン」(高さ150m、長さ275m)とのことですが、「ドバイファウンテン」は超高層ビル街のダウンタウン・ブルジュ・ハリファ地区にあり、世界最大のショッピングセンター「ドバイ・モール」と人工湖の「「ブルジュ・ドバイ湖」に面したアドレス・ダウンタウン・ドバイの中間に位置し、町の中心地という好立地にあり、臨海副都心エリアの端にあるお台場海浜公園とは比較になりません。

噴水に使用する水は上水で、維持管理費は年間1.5~2億円と見込まれており、臨海会計から支出する方針です。近年温暖化による渇水も懸念される中、年間3,000万人が観覧し、経済効果が年間98億円と試算されておりますが、実際はリピーターの人数や維持管理費1.5~2億円の詳細も示されておらず、経済効果の根拠が希薄です。

都による観光のランドマークを巡っては、昨年の2月より都庁第1庁舎を使った大型プロジェクションマッピング(P.M)が、東京の夜間観光スポットとしてスタートしました。「高い芸術性と世界をリードする技術によって、都市の価値を高める日本のキラーコンテンツ」と評し、これまで39万人が訪れているとしていますが、1年が過ぎた今日、昨年より明らかに訪れる人数も減少しております。2年間で16億3000万円の予算が充てられているP.Mの長期的な経済効果について、今後検証が必要となると思います。

東京の観光の振興のために、ナイトライフの充実は大切な課題であり、施策への理解を深めるしっかりとした説明が求められます。予算委員会の中で、明らかにしてまいります。

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