令和7年2月1日現在、大田区の総人口は73万9,538人。その内外国人は3万2,179人と、この1年間で3,782人増えております。町を歩いても、飲食店に入っても、最近外国人が増えたことを実感している方は多いと思います。
これは大田区に限ったことではありません。実際、令和6年6月末の時点の在留外国人数は358万8,956人で、前年比17万7,964人増加しており、過去最高を更新しています。
日本で働く外国人労働者も200万人を超えており、先進国では4番目に多い水準になりました。どうしてこのような状況になったのか考える必要があります。
その発端は、平成31年の「出入国管理及び難民認定法」の改正にあります。これは国内の人手不足を解消するために「相当程度の知識または経験を必要とする技術」を持つ外国人が就労可能な「特定技能1号」(在留期間上限5年、家族の帯同は認めない)を、また高度な技術を持つ外国人には要件を満たせば家族を呼び寄せることも可能で、将来的に永住権付与も開ける「特定技能2号」の資格を与えるというものでした。
日本はそれまで外国人の単純労働を原則禁止していましたが、特定技能1号には、農業・介護・建設・宿泊などの単純労働14業種(現16業種)、特定技能2号には建設と造船・船舶の2業種(現11業種)に門戸が開かれました。
当時の政府は、外国人労働者は「いわゆる移民に当たらない」と述べておりましたが、国連事務総長報告によれば、移民とは「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12か月間当該国に居住する人」とされておりますので、日本が受け入れている外国人労働者は完全な「移民」と言えます。つまり平成31年の入管法改正が、日本の移民政策の原点となったのです。
しかし、人手不足解消のためという安易な理由で移民政策を続ければ、日本人、外国人双方にとって不幸な結果を招くのではないかと思います。特に安易な移民の受け入れによって懸念されるのは、治安とモラルの低下です。
例えば、業務を通じて身につけた技術や知識を、母国に持ち帰ってもらう国際貢献人材育成を目的に、平成5年に創設された「外国人技能実習制度」は、法改正「育成就労法」により、人材確保と人材育成が目的となり、基本的に3年間の育成期間で無試験で特定技能1号に移行できるようになり、今後は外国人労働者の就労は、特定技能制度を中心とした制度に移行していくこととなりました。
しかし育成就労制度は、日本へ送り出す機関が政府認定機関でなくなり、職安法に基づく必要な範囲の機関でよく、また本人の希望により転籍が可能となるなど、受け入れ期間における人材流出が懸念されます。
実際これまでも年間数千名が職場から逃亡失踪しており、令和5年には9,000名を超え過去最高を記録しております。いわば不法移民が毎年増加していることになり、これに対し入国管理局は、失踪者の行方をきちんと把握できていない状態です。
このように、様々な価値観と文化的背景を持つ外国人労働者を安易にこれ以上受け入れることによって、日本の社会のあり方が変わっていく可能性があり、今の段階で外国人育成就労機構が人権侵害への対応だけでなく、日本語能力の向上や生活相談、そして特に監督指導機能を強化し、更に機構に対する監査も十分に行っていくべきです。
また、国においてもスパイ防止法の整備や、失踪者の調査・逮捕・再入国禁止など、警察とも連携し、万全の体制づくりが必要です。現在、世界ではこれまで積極的に移民を受け入れていたEU諸国やアメリカでは、移民政策の見直しが進められております。
大切なことは、人手不足を解消するという安易な目的で外国人労働者を受け入れることにより、外国人への差別や偏見に繋がるということがないようにすることです。
そして、国の根幹を揺るがしかねない大量の外国人労働者の受け入れ政策について、現在の生活保護制度や社会保障制度との整合性も含め、政府は国民に説明すべきです。東京においても、多くの外国人労働者が働いています。今後外国人労働者の就労が安定したものとなるよう取り組んでまいります。