児童養護施設や里親の家庭で暮らす子どもや若者への支援に対する年齢制限を撤廃する児童福祉法改正案を通常国会に提出することが報告されました。

鈴木あきひろ

現行の児童福祉法では、施設などで暮らせるのは原則18歳まで(継続支援が必要とされた場合は、最長で22歳を迎える年度まで)となっており、大半は高校卒業とともに自立を求められ、施設などを離れていきます。しかし、施設などを離れたケアリーバー(社会的養護を離れた人)は、頼れる大人がおらず、心身の不調などから退学や離職に追い込まれたり、孤立や困窮状況に陥ったりするケースが少なくありません。これまでの報告では、施設退所後、5人に1人が困窮状況に陥っていると報告されております。

これまで都議会自民党では、ケアリーバーに対する支援の拡充を国や都へ幾度も要望してきており、私も議連の会長として菅前総理にも必要性を訴えて参りました。この度、厚労省が年齢で一律に支援期間を区切る現制度を見直し、対象となる子どもや若者が自立可能かどうかに着目する必要があると判断されたことは、大変喜ばしいことであります。

具体的には、●支援対象の年齢制限をなくす。●継続支援が必要と判断した場合は、大人向けの就労支援や困窮者向け給付金、医療機関につなぐ間、施設や里親の家庭、自立支援施設などで暮らせるようにする。●支援の必要性は、都道府県や児童養護施設などが連携して判断する。●施設などで暮らす子どもや若者の通学や就職、自立後の生活の相談に乗る専門職の都道府県への配置を増やす。●ケアリーバーに生活費を貸し付ける事業を拡充する。などサポートを強化することとしております。

課題となるのは、今後ケアリーバーとなっております対象者とどのように連絡を取るかです。今回の改正に向けては、アンケートを実施しましたが、配布率は35%、回収率は40%と低いものでした。その主な理由は、「住所・連絡先不明」であります。実際にこれまで約40%の若者が、巣立ち後5年以内で施設などと連絡が付かなくなっております。その理由とされるのは、巣立っていく若者のうち、施設との関係が良好でなかったと考えている施設が5割ほどあったとされております。

現在施設などでは、子どもや若者へ寄り添いながら、きめの細かい支援を心掛け取り組まれております。しかし、それでも施設の人員は限られており、虐待や貧困、親との死別など、様々な課題を抱えている子どもや若者へ十分な支援が施されているとは言えない状況もあり、施設への支援を充実させていくことも重要です。

都はこれまで施設への人員配置への加算など、国を上回る形で支援を拡充して参りましたが、国が更なる支援に向けて動かれることは、大変評価できます。改正案の中身は、今後国会での審議に委ねられますが、施設を巣立っていく若者たちをしっかりと支え、何度も失敗できる、懐の深い支援となるよう期待いたします。

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