医療体制確保に向けた都の役割

新型コロナウイルスの感染拡大で病床が逼迫する中、重症化した患者の転院先、受け入れ先が見つからず、対応が滞り、中規模病院へのしわ寄せが深刻な状態になっております。本来なら大規模な特定機能病院(病床数400床以上)が重症者を受け入れるべきところ、救急患者や高度医療が必要な患者の受け入れにより、看護師ら医療スタッフへの負担の大きい重症化したコロナ患者の受け入れを躊躇している病院があります。そのため、自宅療養中に症状が悪化し救急車を呼んでも、搬送先が見つからないといった事例も報告されております。これ以上医療崩壊をさせないためにも、東京都の責任ある調整力が求められております。

 都はこれまで、爆発的感染拡大を防ぎ、医療崩壊を防ぐことを、新型コロナウイルス対策の大きな柱として対応してきており、私たちも、医療体制の確保、特にコロナ専門病院の設置については、再三知事や関係局に要請して参りました。しかし病院連携やスタッフの確保が進まず、後手後手になっておりました。

 新型コロナウイルスに対する医療体制の確保は、従来の患者受け入れと違い、コロナ患者専門病院の確保や、医療スタッフの徹底した感染防止対策が求められ、一般患者を受け入れている病院における調整の困難さは、当初より指摘されておりました。また、コロナ患者を受け入れる病院の経営的影響も心配されており、現在の診療報酬の仕組みでは、常に8割以上のベッドが埋まらないと経営が成り立ちにくく、救急や高度医療が必要な患者を制限せざるを得ない状況が続くと、1床あたり1日最大約43万円の空床確保料では、まだまだ厳しいと言われております。重症病床(250床)の使用率が62%に上がっている現在、早急に対策を講じなくてはなりません。

そのためにまずやるべきことは、先週都の定例記者会見で発表された、三つの都立病院のコロナ専門病院としての受け入れを早急に進め、中規模病院へのしわ寄せを軽減することです。現在では、突然の指示により医療スタッフの方々の困惑はあるものの、少しずつ受け入れ体制が整ってきております。医療スタッフの皆様のご理解、ご協力に心から感謝申し上げ、都立病院が地域医療の核として、その使命を果たせるよう今後も取り組んで参ります。

 また、都が果たすべき役割を果たし、民間の医療機関のご理解、ご協力を頂くことも不可欠です。場合によっては、一部の特定機能病院や中規模病院のご協力の受け入れ状況を社会に公表していくことも検討していかざるを得ません。

今後も爆発的感染拡大による医療崩壊を防ぐために、全力で取り組んで参ります。

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